なぜ「なんとなく送った」一言のほうが、思っているより喜ばれるのか
誰かにメッセージを送ろうと思い立った瞬間、指を動かすより先に、頭の中ではもう結末まで再生されている。唐突だと思われるかもしれない、なぜ今なのかと思われるかもしれない、送るなら何か理由がいる。そうしてアプリを閉じる。この判断は状況を正しく読んだ結果のように感じられるが、実際には人が互いについて下す予測のなかでも、とりわけ外れやすいものの一つだ。そして今では、それがどれくらい外れているかを、かなり具体的に測った研究がある。
この現象には名前がついている
2018年、心理学者のエリカ・ブースビー、ガス・クーニー、ジリアン・サンドストローム、マーガレット・クラークは、『Psychological Science』誌に「好意のギャップ」(liking gap)と呼ばれる現象についての研究を発表した。会話が終わったあと、人は決まって、相手が自分をどれくらい好きになったか、その時間をどれくらい楽しんだかを低く見積もる、というものだ。この現象は、初対面の相手と実験室で話した場合にも、入学したての大学生が新しいルームメイトと知り合う場面にも、初めて顔を合わせた大人同士のワークショップにも、同じように現れた。一過性の弱い効果ではなく、探した場所ほぼすべてで見つかっている。人見知りを自認する人ほどこのギャップは大きかったが、自己肯定感の低さや拒絶への恐れそのものとは、あまり関係がなかった。もっと単純な理由がありそうだ。会話の最中、自分の中にある迷いにはいくらでもアクセスできるが、相手の迷いにはほとんどアクセスできない。だから、その迷いが自分だけのものだと、静かに思い込んでしまう。
言葉を交わす前から、同じ盲点が働いている
好意のギャップが説明するのは、すでに終わった会話についてだ。その後の研究は、もう一歩踏み込んだ問いを立てた。同じ誤判断は、そもそも連絡を取るかどうかを決める段階――まだ会話すら始まっていない段階――にも及ぶのだろうか。2022年、Peggy Liu、SoYon Rim、Kate Minの三人は、事前登録された一連の実験を行い、参加者を「理由のない連絡を送る側」と「受け取る側」に割り振って、双方の予測と、実際に相手が報告した反応とを突き合わせた。十を超える実験を通じて、ジェスチャーの種類や関係性を変えても、パターンは一貫していた。連絡を送る側は、決まって相手の喜びを低く見積もっていたのだ。「特に用はないけれど」と送った一言も、前触れなく届いた小さな贈り物も、送った本人が想像した以上に、受け取った側からは高く評価されていた。
なぜ誤差が、いつも同じ方向に出るのか
研究者たちが指摘する仕組みは、双方が注意を向けている先の違いだ。メッセージを書いている側は、注意のほとんどをその文面そのものに向けている。唐突に見えないか、タイミングは不自然でないか、説明が必要になりはしないか。送る前から、自分の振る舞いを採点しているようなものだ。一方、受け取る側はそんな採点はしていない。受け取る側が受け止めているのは、もっと単純な事実だ。何でもない日に、特に理由もなく、誰かが自分のことを思い出した、ということそのものだ。理由がないこと、少し意外であること、それ自体が届く力になっている。研究では、連絡が唐突であるほど、そしてふだんあまり連絡を取り合っていない相手であるほど、この効果は大きくなった。それはまさに、送る前にいちばん迷いが生じる状況と重なっている。
これが言っていないこと
ここで範囲を正確にしておく価値がある。誇張は簡単にできてしまうからだ。この効果は本物で、繰り返し再現されているが、それが示すのは平均的な傾向であって、特定の一通のメッセージが特定の相手にどう受け取られるかを保証するものではない。もとになった実験のいくつかでは、研究者が本来検出したいと考えていたよりも小さな効果しか出ていない場合もあり、これは大規模で繰り返し検証された知見が、隠すのではなく正直に書き添えるべき部分だ。また、はっきりと距離を置きたいと伝えてきた相手に、内心では喜ぶはずだという理屈で連絡を続けてよい、という話でもない。ここで言えるのは、「今は連絡されたくないだろう」という予測が、送らないと決めるその瞬間に感じるほどには、当たっていないことが多い、ということだけだ。
まだ送れずにいる、その一通について
実用的な結論は、拍子抜けするほど地味だ。たいていの場合、それは知見が誇張されていない証拠でもある。連絡するのに理由も、報告すべき近況も、ちょうどよく時間が経った実感も必要ない。小さすぎる、唐突すぎると感じて、打っては消し、結局送らなかったあの一通こそが、この研究に照らせば、いちばん喜ばれる可能性が高い。理由がないということ以外、何の目的も見えないからだ。ここで足を止めさせているものの多くは、相手が実際にどう反応するかではなく、あなたが相手の代わりに立てた予測にすぎない。そしてその予測は、ほとんど誰の場合でも、ほとんど毎回、同じ方向にずれるということが、すでによく分かっている。